2010年1月22日金曜日

特発性腹膜炎

特発性細菌性腹膜炎(SBP)の症例を診たので簡単にまとめます。(UpToDateより)

病理
・下のアルゴリズム参照
Pathogenesis_of_SBP.WQcMqpWlsAYA.jpg
診断
・SBPの診断は腹水中の培養と好中球数(>250 cells/mm3)で行う。
・腹水の検査項目は細胞数(分画も)、アルブミン、総蛋白、培養、ブドウ糖、LDH、Gram染色、アミラーゼ、(±結核検査、細胞診、中性脂肪、ビリルビン)
・手術の必要性の有無のため2次性腹膜炎との鑑別が重要。

治療指針(下のアルゴリズム参照)
・発熱や腹痛、意識障害があるような疑い濃厚であれば腹水・血液・尿の検体採取の後に直ちに治療を開始する。
・上記の症状がなければ腹水の好中球の値がでるまで治療を待つのもあり。→好中球250 cells/mm3
・Empiric therapyはできる限り早く始める。SBPの存在を疑うのが肝心。
Dx_and_Rx_of_suspected_SBP.g0hYecgbntqv.jpg
・起因菌はE.coliやKlebsiellaなどの腸内細菌が多いがStreptococcusやStaphylococcusもあり。
・従ってEmpiric therapyは比較的広域抗菌薬が勧められる。(3rdセフェムなど)
・治療期間は5日間で再評価。改善が速やかであれば治療終了。
・発熱や腹痛が持続するようなら腹水を再検。
・アルブミンの投与は生存率を改善させる可能性がある。(Grade2B)

予防
・SBPの既往のある外来患者はキノロンやST合剤での予防を推奨。(Grade2B)
・Child-Pugh9点以上やBil値>3,Cr>1.2,BUN>20,Na<130や腹水中総蛋白<1.5では予防投与推奨。(Grade1B)
・消化管出血で入院した場合にはCTRX1g/日の静注を推奨。(Grade1A)経口摂取可能になれば内服抗菌薬へと変更し7日間投与。
・他の理由で入院した場合には腹水中総蛋白<1.0なら退院まで抗菌薬内服。

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